エンジンオイル添加剤は有効か? [自動車]

CASTROL.JPG

一時期、深夜の通販で盛んにエンジオイルの添加剤を紹介していたような気がします。

時期としては、北米で複数の販社が訴訟に敗れて販売できなくなった商品群を日本で在庫処分するために、ホームセンターや通販などで売っていたと言っていた人もいました。 通販番組では一度使えばオイルを抜いてもエンジンは焼き付かないとか言って、軽飛行機をオイル抜いて飛ばしたりしていました。 燃焼温度の低いライター・オイルをボンネットにかけてみせるコーティング(ワックス)材と同様に、なにかレトリックがあるのだろうなぁ と、見ていましたよ。

 最初に使ってみた添加剤はテフチューンというテフロン系だと思われる商品でした。国産自動車会社の購買部の部長さんからサンプル品をいただき、納車後半年のR32スカイラインに使いました。十分暖機した後での油圧がわずかではありますが、下がりました。その後3.5万キロくらいで手放すまで、一度も再使用しませんでしたが油圧計の位置はわずかに下がった位置のままでした。燃費はわずかに下がったかもしれないというレベルでしたね。

 学生時代にアルバイトで自動車部品工場で働いたことがあり、シリコンゴム(プラグキャップなど)が金型に焼き付かないようにデュポン社のテフロン・スプレーを使っていました。巷で言われているように、テフロンは高温下では定着しにくいという特性そのままで、金型温度160-180度では数回に1回はスプレーしていました。 内縁機関の燃焼室なんて、もっと高温なのでテフロンコーティングを謳った商品には疑念を抱くようになりました。 そしてテフチューンでは油圧がわずかに下がったのは錯覚で、プラシーボ効果に他ならないと思うようにもなりました。

 日本の箱のレースの参加車両で、添加剤販売元がスポンサーなのに、そのスポンサーの商品を使うことのない事実に一層の疑念を抱くように。。 「そんな素晴らしい商品ならば、賞典外のゼロ・カーとして、添加剤を入れるところから公開して、レースに参加してみろっ!」 と言いたい! わずかな性能向上にしのぎを削っている競技車両に使うはずだし、効果的ならばレギュレーションで規制されるはず。(実際に規制されていたらごめんなさい! でもそれなら、賞典外での参加によってPRする意味はあるでしょ? なぜどこもやらない?)

 面白いことにGMやMercedesの代理店までやっていたヤナセが取り扱っていたこと。なぜ面白いかというと、取り扱っているメーカーが添加剤の類を使用したら、メーカー保証外としていたからです。いわゆるダブル・スタンダードですなぁ。

 また日本で自動車雑誌の中で一番権威があるであろう雑誌に毎号広告が載って、たまに提灯記事が出ることと、効果についての正直な感想を、雑誌社を接待したメーカ側広報担当者から伝え聞いたことなども、疑念を抱く材料となりました。(バイアスがかかった話の可能性もありますので、信憑性は?ですよ!)

 まったくの憶測ですが、燃費改善があるとしたら潤滑油の粘度を下げているだけなのではと思っています。ですから、省燃費オイルと謳っている、元々粘度の低いオイルとの組み合わせでどれだけ効果があるのかためしてみたいところです。

 ヤナセでシフト・ショックが気になった 190E/2.6 Sportline のATFに、ATF用添加剤入れてみようかと相談しましたが、肯定的な意見はもらえませんでしたが、使ってみたところ変化は全くありませんでした。その後ATFを別の銘柄に交換して、症状は治まりました。

 添加剤に否定的なことばかり書きましたが、効果を実感した製品もありました。カナダのメーカが開発・製造しているGRPという製品です。オイルに混じって微細なボールベアリング的な効果を発揮して、金属同士の摺動を防ぐ効果があるらしいそうです。(興味を持たれたら、私のヨタ話でなくオフィシャルサイトで確認してください。別にオススメしているわけではないです)

 気に入ったのがオイル交換で、オイルと共にエンジンからでてきてしまう点でした。 試した車両は Porsche 928/S4 と Range Rover 4.6/HSE です。 両者とも V8特有のエンジン音が騒がしく感じます。 エンジンを止めて添加剤を注入し、エンジンをかけます。10分ほどアイドリングを続けてから走り始めると、明らかにエンジン音が静かになり、レスポンスもわずかではありますが感じられます。テフロン系添加剤愛用者も一緒にいて、驚いていました。 

 この手の商品は一種の霊感商法的なもので信じるか否か的であると思います。もしも有効ならば、オイルメーカが採用しそうですから。


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ももんが

自動車メーカーも石油会社も「添加剤は使わないで」と言いますよね。

昔の深夜通販を見ていると確かに魅力的に感じたのですが、
「そんなに効果があるなら、何故メーカーは新車に入れないのだろう?」と疑問に思っていました。

プラシーボ効果は大きいでしょうね。

「試した車両は Porsche 928/S4 と Range Rover 4.6/HSE」
これまた凄い車名が。
928/S4の丸いオシリが大好きでした。
by ももんが (2009-08-09 15:51) 

kanchi

ももんがさん、こんにちは!

磁石を燃料パイプに取り付けるモノなんかは、効果がなくても害も無いから笑い話で済ませられると思いますが、オイル添加剤での悪影響は致命的なものとなる可能性が高いので、使用する場合は慎重になるべきでしょうね。

928/S4は丸いオシリにウレタン・スポイラーの組み合わせが気に入っていました。
by kanchi (2009-08-09 16:10) 

キキ

928で思い出すのは高速でオカマ掘られて、そんなにへこんでないなぁ。
と思ったら、修理代が140万円くらいとか。
そんな事故車を見たことかな?
自分の車ではないですが。
by キキ (2009-08-09 18:48) 

soraneko

添加剤は散々調べました。
まあ、ほとんどが「まがい物」レベルの物のようです。

自分ではCGなどでよく宣伝していたテフロン系の「M」をレオーネによく入れていました。
そのおかげかどうか、そのエンジンはレブリミットを越えても回り続ける謎のエンジンになってしまい、事故でフロントをぶつけてオイルが完全に抜けても、1時間ほど回り続けて走行することが出来ました。
ま、ほとんど笑い話のような事です。

現在販売されている車のエンジンは、シリンダーそのものにモリブデン配合の合金(クロム?)などをコーティングしている場合が多く、下手な添加剤はトラブルの元になるので使っていません。

GPRのうわさは良く聞きます。
もともと工業用の機械に使う物で、定評があります。
自転車のハブやBBのグリースを、GPRグリースに入れ替えている猛者もいます。

大体市販のエンジンオイルは、鉱物でも合成でも、相当の量と種類の「添加剤」が最初から配合されているそうで、それでオイルの性能を維持しているそうです。
by soraneko (2009-08-09 19:16) 

kanchi

キキさん、

928だとトランスアクスルなので余計に後部損傷による影響が大きいのかもしれませんね。乗ると異常に横幅の大きさを感じさせるボディで、狭い道では難儀しました。

水平対抗6気筒搭載車以外の944や968は玄人筋には評価が高かったようですが、人気が出ませんでしたねぇ。
by kanchi (2009-08-09 20:12) 

kanchi

soraneko さん、

以前、救援に行った自爆した友人のレオーネ(soranekoさんの乗られていた前の型)でもエンジンオイル抜けてました。冷却水も抜けていたので休み休みでしたが小一時間走っても大丈夫だった様です。添加剤無しでした。

懇意にしていただいていたはオイル業界の担当の営業さんから、各種添加剤を研究して配合してあるので、余計な添加剤は害なだけとも聞き及びます。

モータサイクルではGRPを使っている話を聞きますが、自転車乗りの方でもおられるのですね。近い将来自分でも試してみたいですが、違いの分かるカラダに鍛える方が先ですね。

調べた方の貴重なお話し、感謝します!
by kanchi (2009-08-09 20:24) 

とも

皆様の武勇伝にはビックリさせられながらも楽しく聞かせていただきました。
自分は「添加剤なんて気分的なもので実際の効果なんてほとんど無い」などと、全く根拠の無い持論を持っていましたが、最近は興味を惹くモノもありました。
でも、殆どはやっぱり効果ないと考えてよさそうですね。手を出すのは止めておきます。でも、「GPRはいい」と、覚えておきます(^^)
いずれにせよ気になる製品があったら、ネットで調べるよりもkanchiさんのブログに上げた方が的確な回答が帰ってきますね!
by とも (2009-08-09 23:10) 

キキ

昔、フロンティアというのが流行ったのを思い出しました。
表紙の全合成油。
ロータリーには入れれないだろうなぁ。
by キキ (2009-08-09 23:47) 

corrado

そのヤナセが販売しているATの添加剤。
ATが不調が軽度の場合はお客の同意を得て入れるそうです。
良くなる場合もあるそうです。
ただ、逆に悪くなる事例もあるので、載せ換えるならその前に・・・という場合に入れるとのこと。
知り合いの業者でゴルフ3のシフトショックが大きなクルマで入れたところ、かなり回復したそうです。
ただ、1年後に再発し、廃車・・・。

まぁー、どのメーカーの取説にも添加剤は不要と書いてありますね。私も良いオイル(100%合成油)には必要がないと思います。
エンジンオイルの添加剤の種類はあまりにも多く、すべてに効果の有無は確かめていませんので、何ともいえませんが、ワコーズのFVは効果が有りました。特にスラッジの溜ったクルマなどには良さそうです。ただ、物理的にエンジン内が摩耗しているものに入れたところで手遅れです。その他、ワコーズのFO等はエンジンオイルの油膜を厚くして圧縮を上げているだけです。
by corrado (2009-08-10 00:34) 

kanchi

ともさん、

ぱっと見て、購入意欲をそそるものってありますよね。 出荷後に成分が分解し、沈殿物が生成されてしまった製品なんかもあるのでヘタに使わない方が無難かなぁ とも思ったりしています。

soraneko さんのコメント見ていただければ、私よりもsoranekoさんへ相談された方が適切なコメントいただけると思いますヨ。 私の場合は調べる範囲が狭いと思いますので。。 でもそういう話は好きなので参加させてください!

GRPは環七沿いの千歳船橋付近のオートバックスで購入していましたが、他のオートバックスでは見かけませんでした。(かなり昔です)
by kanchi (2009-08-10 23:58) 

kanchi

キキさん、

フロンティアという名称だけは私も覚えています。

ロータリー用の推奨オイルはもう少し固くないとダメですか?
by kanchi (2009-08-11 00:03) 

kanchi

corrado さん、こんばんは!

私の相談した池袋店では「お客様が希望されるなら、ダメ元でやってみましょうか」と言われました。で、多少は効果があったような気もしましたが、はっきり分かる効果は感じられませんでした。

逝ってしまったゴルフ、フルードの通るラインに溶け出たスラッジ類が流れ出して詰まってしまったのですかねぇ。

その後、品川のヤナセで部品注文の際にATF交換の話をしたことありますが、原則断っているという話でした。 ある程度の距離を経たATでのATF交換や添加剤注入はラインの詰まりが予想され、致命的な故障の可能性が考えられるという主旨の理由だと覚えています。

エンジン始動時の暖気やアフターアイドル、渋滞走行などを避けていても、エンジン内のスラッジは溜まってくると思いますが、洗浄効果の期待できるオイルを使うのと、ビルシュタイン2000などの高圧洗浄機ではどちらが良いのでしょうか。 一長一短で高圧洗浄だとオイルシール部からオイルが漏れる可能性の高いエンジンなどは洗浄効果のあるオイルを使うといった使い分けなのだろうかと考えております。
by kanchi (2009-08-11 00:18) 

corrado

こんばんは、
通常の使用ではエンジンにスラッジは溜らないですから、
洗浄はしなくても大丈夫かと思います。
致命的なのは以前記事にしたhttp://golf5-gti.blog.so-net.ne.jp/2007-01-22です。
これは極めて極端な例であるものの、5000kmサイクルで交換していれば、7万km乗ったエンジンでも新車のようにキレイです。

ただ、メルセデスやBMW、VWのロングライフオイルを入れていて、走行距離で管理した場合は大抵の日本人の場合は2年間交換しなくて良い計算にあります。そんな管理をし、なおかつコールドスタートの多いエンジンは走行距離が6万kmくらいでもボロボロです。

何ともいえませんが、ロングライフを入れるくらいなら、1Lで500円くらいの日本のメーカー純正100%鉱物オイルを半年に一度交換していたほうが、故障しません。ちなみに100%鉱物油は合成油より添加剤が多く入っているようです。単純にそれは分子構造がオイル切れを起こさない様になっている合成油と比べ、鉱物油はそれこそ重油から抽出するワケでオイルの切れを防止するには、添加剤を多く入れる必要があるそうです。私はあまり気にしていませんでしたが、そんなワケで鉱物油は手にあまり付かないようにしたほうが良いとワコーズに言われました・・・。
by corrado (2009-08-11 02:35) 

kanchi

corrado さん、貴重な情報ありがとうございます。

オイル交換は以前から車検毎の放置派と神経質な短距離交換派に分かれているように感じます。

また出所のはっきりした安売りオイルをこまめに交換したり、オイルに厳しい走り方をした後の交換を意識したりすることは免許を取った頃から先輩達からアドバイスされてきました。

最近のクルマはアンダーカバーを外さなければいけないことが多く、自分で交換することはなくなり、安く入手したオイルをディーラへ持ち込んで交換してもらうことが多くなりました。

VWのロングライフを一度試しましたが、わずかではありますがお漏らししてしまったので元から使用のカストロールの合成油に戻しました。以前使っていた Mobil 1 も価格を抜きに考えれば良いオイルでした。古く(劣化)なってくるとどうしてもわずかではありますが、微振動や機械音の上昇が気になってきますが Mobil 1 ではそういった要素は感じずに距離で交換していました。  

拙宅にある M3 は新油を入れてリセットすると、イグニッション・オンでオイル交換までの距離表示が25,000Kmと表示されますが、油温などの要素も考慮して算出しているようで、5000Km程度で残り1万キロぐらいの表示になり、このタイミングで交換しています。

鉱物油の添加剤は肌に触れない方がよさそうなものを含有していそうですね。覚えておきます。
by kanchi (2009-08-11 13:36) 

トライボシステム展望者

 現在の機械構造材料の最大のネックは摺動面圧。
いくら機械的特性(材料強度・硬さ)が高くても、材料というものは摩擦に弱い。
そのため潤滑油が存在する。しかしながら、それでも弱いので
コーティングをする。
しかし、日立金属が開発した自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICは
コーティングレスで摩擦に強いことが特徴。そのメカニズムは
潤滑油と鉄鋼材料が相互作用を起こし、グラファイト層間化合物
という高性能な潤滑物質を作るためであることが、日立金属技報
2017で公表された。
 これにより機械設計は小型化され、摩擦損失と軽量化の同時
解決が見込まれ、自動車の燃費向上に大いに寄与することが期待
されている。
by トライボシステム展望者 (2017-03-05 11:29) 

研究開発マネジメントプロ

 破壊的イノベーションとか言われている材料でエンジン重量が半分になるかもしれないといわれているものですね。高性能潤滑物質GIC結晶が、まるでボールベアリングのような構造をしているので軸受産業への影響が大きいとみる方もいるようです。
by 研究開発マネジメントプロ (2017-05-18 10:12) 

GIC結晶

 やっぱり産業機械の国の競争優位性は境界潤滑をどう制御するかにかかっていて
ドイツ車のダウンサイジングの嵐も、結局ピストンピンにDLCだった。しかしこれは違う。潤滑システムを見直せと言っている。自分の担当の部品だけに固執して表面硬度
をガンガン上げて、相手材を破壊したり、循環システム全体にナノダイヤをまき散らすのは良くないといっているのだ。つまりドイツ方式の部分最適化ではなく全体でドイツを上回るエンジンを作れる展望を示しているのだと思う。
by GIC結晶 (2017-05-29 01:41) 

特殊鋼流通

 リケンの社長さん新し好きだからピストンリングに使いそうですね。
by 特殊鋼流通 (2017-06-04 19:14) 

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